teacup. [ 掲示板 ] [ 掲示板作成 ] [ 有料掲示板 ] [ ブログ ]

 投稿者
  題名
  内容 入力補助
    
 URL
[ ケータイで使う ] [ BBSティッカー ] [ 書込み通知 ]


国立天文台 アストロ・トピックス (233)

 投稿者:wataメール  投稿日:2006年 8月25日(金)23時16分21秒
  (速報)太陽系の惑星の定義確定

 8月14日からチェコのプラハで開催されていた国際天文学連合(IAU)総会は、
最終日の8月24日、太陽系の惑星について、以下のように決定しました。これは
海王星・冥王星より遠い小天体が最近多数発見されていることなどにより、
これまでの太陽系像を改定する科学的必要が生じたもので、2年近い討議と
特別委員会での検討、今回の総会での熱心な科学的討議により決定されたもの
です。速報として定義内容の和訳をお送りしますが、詳細や解説は国立天文台
ホームページをご参照ください。


      国際天文学連合:太陽系における惑星の定義

 現代の観測によって惑星系に関する我々の理解は変わりつつあり、我々が用
いている天体の名称に新しい理解を反映することが重要となってきた。このこ
とは特に「惑星」に当てはまる。「惑星」という名前は、もともとは天球上を
さまようように動く光の点という特徴だけから「惑う星」を意味して使われた。
近年相次ぐ発見により、我々は、現在までに得られた科学的な情報に基づいて
惑星の新しい定義をすることとした。

決議
 国際天文学連合はここに、我々の太陽系に属する惑星及びその他の天体に対
して、衛星を除き、以下の3つの明確な種別を定義する:

(1) 太陽系の惑星(注1)とは、(a) 太陽の周りを回り、(b)十分大きな質量を
    持つので、自己重力が固体に働く他の種々の力を上回って重力平衡形状
  (ほとんど球状の形)を有し、 (c) その軌道の近くでは他の天体を掃き散
  らしてしまいそれだけが際だって目立つようになった天体である。

(2) 太陽系の dwarf planet とは、(a) 太陽の周りを回り、(b)十分大きな
  質量を持つので、自己重力が固体に働く他の種々の力を上回って重力
  平衡形状(ほとんど球状の形)を有し(注2)、(c) その軌道の近くで他の
  天体を掃き散らしていない天体であり、(d)衛星でない天体である。

(3) 太陽の周りを公転する、衛星を除く、上記以外の他のすべての天体(注3)
  は、Small Solar System Bodies と総称する。

注1: 惑星とは、水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星の8
 つである。
注2:基準ぎりぎりの所にある天体を dwarf planet とするか他の種別にするか
     を決めるIAUの手続きが、今後、制定されることになる。
注3:これらの天体は、小惑星、ほとんどのトランス・ネプチュニアン天体
  (訳注1)、彗星、他の小天体を含む

冥王星についての決議
 国際天文学連合はさらに以下の決議をする:
  冥王星は上記の定義によって dwarf planet であり、トランス・
  ネプチュニアン天体の新しい種族の典型例として認識する。


訳注1:トランス・ネプチュニアン天体は、海王星より遠方にあって太陽の周りを
  回る天体で、今まで国立天文台ではエッジワース・カイパーベルト天体と表記
  してきました。


参照: 第26回国際天文学連合総会ホームページ
    http://www.astronomy2006.com/

    国際天文学連合総会ニュースペーパーページ
    http://astro.cas.cz/nuncius/

    国立天文台ホームページ・惑星の定義について
        http://www.nao.ac.jp/


        2006年8月24日           国立天文台・広報室
 
 

VSOLJ ニュース (155)

 投稿者:wataメール  投稿日:2006年 7月27日(木)07時42分9秒
                  超新星2006dyを山形の板垣さんが発見

                                         著者  :山岡均(九大理)
                                         連絡先:yamaoka@rc.kyushu-u.ac.jp

  山形県の板垣公一(いたがきこういち)さんが、うしかい座の銀河NGC 5587に
超新星を発見されました。彼自身、今年3個目の発見です。爆発後それほど間
がないものと思われ、今後の観測が期待されます。

  板垣さんが超新星を発見したのは、7月25日の夜(日本時間)のことです。世
界時25.54日に撮影した画像で、16.6等級の新天体を見いだしたのです。その
位置は、

  赤経  14時22分11.45秒
  赤緯 +13度55分14.2秒 (2000年分点)

で、母銀河であるNGC 5587の中心から東に10秒角、北に9秒角にあたります。
この知らせをうけて、Lick天文台のKatzman自動撮像望遠鏡の画像を調べたと
ころ、3日前の22.22日(世界時、以下同様)には18.5等級で写っていることがわ
かりました。さらに26.20日に同望遠鏡で撮影した画像では16.5等級になって
おり、爆発直後の急増光中であると期待されます。

NGC 5587は、S0/a型に分類される、腕があまり発達していない渦巻銀河です。
まずまず距離が近いため、母銀河内の星間吸収に邪魔されなければ、核爆発型
超新星ならば14等級ほどの極大が期待されます。重力崩壊型であっても16等ほ
どとなるでしょう。今後、光度変化や分光観測が期待されます。

参考文献: CBET 586 (2006 Jul 26)

2006年7月26日

※ この「VSOLJニュース」の再転載は自由です。一般掲示、WWWでの公開
  等にも自由にお使いください。資料として出版物等に引用される場合には出典
  を明示していただけますと幸いです。継続的・迅速な購読をご希望の方は、
  VSOLJニュースのメーリングリスト vsolj-news にご加入いただくと便利で
  す。購読・参加お申し込みは ml-command@cetus-net.org に、本文が
  subscribe vsolj-news
  と書かれたメールを送信し、返送される指示に従ってください。
  なお、本文内容に対するお問い合わせは、著者の連絡先までお願い致します。
 

VSOLJ ニュース (154)

 投稿者:wataメール  投稿日:2006年 5月15日(月)22時37分7秒
                  超新星2006chを山形の板垣さんが発見

                                         著者  :山岡均(九大理)
                                         連絡先:yamaoka@rc.kyushu-u.ac.jp

  超新星はひとつの銀河あたり、数十年に1個の割合で出現すると考えられて
います。ただし、その割合は銀河の種類、特に星が多くできているかどうかに
よって大きく変わります。腕の開いた渦巻銀河のように、星を活発に形成して
いるような銀河では、短寿命の重い星が爆発する超新星の数が多くなります。
ペガスス座の銀河NGC 7753は、腕が開きぎみの渦巻銀河のひとつです。

  今年の1月に超新星2006Aが出現したこの銀河で、今年2個目の超新星が発見
されました。発見者は山形県山形市にお住いの板垣公一(いたがきこういち)さ
んで、これが板垣さん自身今年2個目の超新星発見になります。

  超新星は、5月9.765日(世界時、以下同様)撮影の画像で、16.5等の明るさで
発見されました。板垣さんの観測では、11.764日に16.6等、14.752日に16.8等
と、次第に暗くなっているもようです。超新星の位置は、

    赤経:  23時47分06.12秒
    赤緯: +29度28分50.6秒  (2000年分点)

で、母銀河であるNGC 7753渦巻銀河の中心から東に17秒角、南に10秒角にあた
ります。http://www.rochesterastronomy.org/sn2006/n7753s5.jpg に発見画
像が置かれています。

  1月にはこの銀河は夕空低く、超新星2006Aは発見後に分光観測されることな
く暗くなってしまいました。今回も、まだ明け方の空低く、分光観測は難しい
ところですが、今後の追跡観測が望まれます。

参考文献: CBET 510 (2006 May 15)

2006年5月15日

※ この「VSOLJニュース」の再転載は自由です。一般掲示、WWWでの公開
  等にも自由にお使いください。資料として出版物等に引用される場合には出典
  を明示していただけますと幸いです。継続的・迅速な購読をご希望の方は、
  VSOLJニュースのメーリングリスト vsolj-news にご加入いただくと便利で
  す。購読・参加お申し込みは ml-command@cetus-net.org に、本文が
  subscribe vsolj-news
  と書かれたメールを送信し、返送される指示に従ってください。
  なお、本文内容に対するお問い合わせは、著者の連絡先までお願い致します。
 

国立天文台 アストロ・トピックス (46)

 投稿者:松下徹  投稿日:2004年 9月 9日(木)19時43分5秒
            明るくなるか、マックホルツ彗星

 今年の春にはいくつかの肉眼彗星が出現し、天文ファンの目を楽しませてく
れましたが、今年の年末から来年にかけて明るくなりそうな期待を抱かせる彗
星が新たに発見されました。アメリカ・カリフォルニア州に住むコメットハン
ター、マックホルツ(Machholz D.E.)が、2004年8月27日12時過ぎ(世界時)に、
15センチメートル望遠鏡での捜索中、エリダヌス座の中に11等級の明るさで発
見した新彗星です。ちなみに、マックホルツの彗星発見数は10個となりました。

 その後、世界各地での追跡観測がおこなわれ、「C/2004 Q2 (Machholz)」と
命名されました。そして、8月30日までの38個の位置観測から、次のような暫定
軌道が計算されています。

        近日点通過時刻 2005年1月24.837日 (力学時)
        近日点距離   1.20341 天文単位
        離心率     1.0
        近日点引数   19.591 度 (2000.0分点)
        昇交点黄経   93.580 度 (2000.0分点)
        軌道傾斜角   38.596 度 (2000.0分点)

 この軌道から、今後の位置や明るさを予想すると、この彗星が標準的な明る
さの変化をした場合、2004年末から2005年始頃にかけて4等級まで明るくなり、
肉眼でも見える可能性があります。また、冬の星座おうし座付近を北上すると
いう日本でも大変に観察しやすいコースを通ります。

 ただ、彗星の明るさの予想は大変に難しく、どこまで明るくなるかはもうし
ばらく観測を続ける必要があります。また、今年5月に明るくなったニート彗星
が最大3等級になりましたが、4等級ということになると街中で観察するのは難
しいでしょう。
 天文ファンにとっては、これから楽しみな彗星であることは間違いないでしょ
う。

参照:IAUC 8394 (Aug. 27 2004).
   マックホルツすい星の軌道と今後の予報(国際天文学連合).
     http://cfa-www.harvard.edu/iau/Ephemerides/Comets/2004Q2.html
   さじアストロパーク天文ニュース No.120 (2004年9月2日).
     http://www.vill.saji.tottori.jp/saji103/NEWS/news0120.htm

      2004年9月9日            国立天文台・広報普及室

----------------------------------------------------------------------
※この情報は鳥取県さじアストロパークの織部隆明(おりべたかあき)さんより、
 いただきました。
 

VSOLJ ニュース (128)

 投稿者:松下徹  投稿日:2004年 8月 5日(木)19時13分30秒
         高尾明さんが明るい新星らしき天体を発見

                     著者 :山岡均(九大理)
                     連絡先:yamaoka@rc.kyushu-u.ac.jp

 北九州市の高尾明さんは、昨年、今年と新星を発見されている天体捜索者で
すが、このほど7.4等級と明るい新星らしき天体をさそり座に発見されました。
この天体は増光中のようで、もしかすると肉眼でも見えるほどの明るさになる
かもしれません。

 新天体は、8月3.583日(世界時、以下同様)に撮影されたCCD画像上で発見さ
れました。位置は、

 赤経:17時29分18秒
 赤緯:-31度46.0分 (2000年分点、精度0.1分角程度)

と報告されています。この天体は、チリのラス・カンパナス天文台に置かれた
自動全天サーベイASAS-3でも、発見の前日の2.071日にV=9.9等でとらえられて
います。このことから、天体が増光中で、もしかしたら肉眼等級まで明るくな
るかもしれないと期待されます。

 この位置周辺には、目立った赤外線源もX線源もなく、新星の可能性が高い
ものと思われます。位置の精度がまだ荒いため、爆発前の星は確定していませ
んが、16等級よりも暗いことは確実でしょう。今後の分光観測や光度測定、精
密な位置測定が待たれます。

 発見画像は、

http://www.rc.kyushu-u.ac.jp/~yamaoka/takao/nsco040805.jpg

で見られます(高尾さん提供)。双眼鏡でも見られるでしょうから、夏休みの新
天体観察の対象としてはいかがでしょう。

参考文献:IAUC 8380 (2004 Aug 5)

2004年 8月 5日

※ この「VSOLJニュース」の再転載は自由です。一般掲示、WWWでの公開
  等にも自由にお使いください。資料として出版物等に引用される場合には出典
  を明示していただけますと幸いです。継続的・迅速な購読をご希望の方は、
  VSOLJニュースのメーリングリスト vsolj-news にご加入いただくと便利で
  す。購読・参加お申し込みは ml-command@cetus-net.org に、本文が
  subscribe vsolj-news
  と書かれたメールを送信し、返送される指示に従ってください。
  なお、本文内容に対するお問い合わせは、著者の連絡先までお願い致します。
 

国立天文台 アストロ・トピックス (39)その2

 投稿者:松下徹  投稿日:2004年 8月 5日(木)19時12分34秒
 

■7月27日の「国立天文台 アストロ・トピックス (33) 「宇宙の日」ふれあい
 フェスティバル 2004」でお伝えしましたが、2件の募集が出ています。その
 うちの「小惑星の名前 募集」の方は、特に開催地の宮崎県にこだわっており
 ませんので、全国の皆様からの応募をお待ちしているとのことです。

             小惑星の名前 募集

 『「宇宙の日」ふれあいフェスティバル2004』の開催を記念して、まだ正式
に名称のついていない小惑星の名前を募集します。

 小惑星は、発見者に国際天文学連合(IAU)から名前を提案する権利が与えられ
ています。今回、小惑星の名前の提案権を持つ発見者が、フェスティバルの主
旨に賛同していただき、募集した名前から「スペーストークショー」に参加し
た子どもたち全員と若田宇宙飛行士で国際天文学連合(IAU)へ提案する小惑星の
名称を決定することになりました。

 このイベントにふさわしい名前や地名にちなんだ名前など、なんでも結構で
す。素敵な名前を考えてください。

※名前を考えるときのルール
  「ローマ字で表記した場合に16文字を越えないもの」
  「なるべく日本語の名前」
  「個人名や商品名など固有の名前は付けられません」

応募方法:官製ハガキに
      『小惑星の名前と読み方、考えた理由、氏名、年齢』
     を記入し
      『〒880-0805 宮崎県宮崎市橘通東1-14-20
        宮崎市教育委員会 文化振興課 「宇宙の日」記念イベント係』
     までお送り下さい。

応募締切:2004年8月13日(金) 必着

※小惑星の名前は、当日決定したものを国際天文学連合(IAU)に申請し、承認さ
 れると正式に決定します。

※小惑星について 小惑星とは太陽の周りを回っている小さな天体です。多く
 は、火星と木星の間に存在し、小惑星帯と呼ばれています。その数は、現在、
 軌道がわかっているものだけでも7万個以上です。
 こでまでの「宇宙の日」記念イベントでは、
  2001年大阪「(6562)TAKOYAKI (たこやき)」(国立天文台・天文ニュース (550))
  2002年松江「(29431)SHIJIMI(しじみ)」   (  ”     ”    (634))
  2003年東京「(14500)KIBO(きぼう)」    (  ”     ”    (698))
 と名付けられ、正式な名前として国際天文学連合(IAU)に承認されています。

※プレゼント 決定した名前を考えてくれた人全員に証明書を発行します。
 決定した名前を考えてくれた人の中から、抽選で景品・宇宙グッズを進呈し
 ます。(抽選結果は発送をもって替えさせていただきます)

企画・運営等に関する問い合わせ先:
 〒105-0013 東京都港区浜松町1-29-6 浜松町セントラルビル8F
              財)日本宇宙フォーラム内 「宇宙の日」事務局
                 TEL:03-3459-1652 FAX:03-5402-7521

※平成16年「宇宙の日」記念行事
 「宇宙の日」ふれあいフェスティバル2004開催について
      http://www.jaxa.jp/press/2004/07/20040716_spaceday_j.html
 

国立天文台 アストロ・トピックス (39)

 投稿者:松下徹  投稿日:2004年 8月 5日(木)19時11分17秒
   「スター・ウィーク ~星空に親しむ週間~」は、毎年8月1日から7日の一週
間を中心に「子どもから大人まで幅広く星空に親しんでもらおう!」という趣旨
のキャンペーンです。ことしも、この週を中心に夏休み期間中、各地でたくさ
んのイベントがおこなわれています。

 スター・ウィーク ~星空に親しむ週間~ では、統一イベントとして、8月7
日に『☆全国調査「あなたの街で天の川は見えますか?」☆』 を行います。

  みなさんは「天の川」を見たことがありますか?

   8月7日の夜10時すぎにはみなさんの頭の上には天の川が輝いています。
   立ち止まって、頭の上を見上げてください。
   天の川は見えますか? 見えませんか? 天気が悪いですか?

   みなさんの報告を元に2004年8月7日夜10時ごろの「天の川が見えた&見
   えない日本地図」を作りたいと思っています

   そして全国で同じ日、同じ時間にみんなで夜空を見上げる素敵な体験を
   してみませんか?

   8月7日はちょっとだけ外に出てみなさんの上に広がる星空の様子を教え
   てください

調査の方法:

 8月7日の夜10時から11時までアンケート専用のウェッブ・ページを開設しま
す。そこにアクセスしていただき、

  ★今いる場所(都道府県&市町村)

  ★頭の上を見て次の4つから選択

    1:天の川が見える 2:見える気がする 3:見えない 4:天気が悪い

  ★感想などがあれば自由に

の3つの項目を教えてください。(メールアドレスなどの個人情報は収集しません)

 みなさんからお寄せいただいた情報はスタッフががんばって集計して「天の
川が見えた & 見えない日本地図」としてなるべく早く、ウェッブ・ページでお
知らせします。

 もし、この調査の時間に携帯のつながらない場所にいたりPCのない場所にい
る場合は、翌8日にメールで報告していただいても結構です!

 なお、より本格的な調査は環境省の「スターウォッチングネットワーク」で
全国的に行われます


ご協力をお願いいたします。

 なお、スター・ウィーク ~星空に親しむ週間~ では、もうひとつ統一イベ
ントとして「地球の大きさをはかろう」を行っています。こちらも是非ご参加
ください。

参照:スター・ウィーク ~星空に親しむ週間~ http://www.starweek.jp/
   全国調査「あなたの街で天の川は見えますか?」
    〔調査の方法、当日の天の川の見え方 など〕
       http://www2.memenet.or.jp/hosinoko/amanogawa/index.html
  環境省「スターウォッチングネットワーク」
       http://www.env.go.jp/kids/star.html

       2004年 8月 5日           国立天文台・広報普及室


======================================================================
 

国立天文台 アストロ・トピックス (37)

 投稿者:松下徹  投稿日:2004年 8月 5日(木)19時09分4秒
            今年のペルセウス座流星群は好条件

 毎年8月中旬に極大を迎えるペルセウス座流星群は、数が多いだけでなく、明
るい流れ星も多いために見ごたえのある流星群として、夏の夜空の風物詩になっ
ています。今年は観察する上での条件が良く、多数の流星の出現が期待されて
います。

 流星群が出現するのは、ペルセウス座が北東の方角から上ってくる深夜過ぎ
となります。今年の8月中旬には月明かりの影響がほとんどありませんから、暗
い流星まで見えると期待されています。また、流星数が最も多くなる通常の極
大時刻は、日本時間で8月12日から13日にかけての夜間となりますので、好条件
下で観察できるわけです。

 さらに、フィンランドのライチネン(Esko Lyytinen)らは、今年のペルセウス
座流星群は、日本時間で8月12日午前5時50分頃に、通常よりも活発な活動が見
られる可能性があると予測しています。この時刻には、日本では夜明けを迎え
てしまっていますが、この予想が当たるとすれば、12日の明け方にかけて流星
数が増えていくことも期待されます。また、流星が電波を反射することを利用
した電波観測では、昼夜を問わず出現の様子を調べることができます。そのた
めの国際監視網も立ち上がっており、そのデータはインターネットでライブ中
継される予定になっています。夜明けまで肉眼で観察し、夜明け後はライブで
その後の様子を眺めるのも、ひとつの楽しみ方かも知れません。

 流星群の観察には、特別な望遠鏡や双眼鏡は不要です。星がよく見えるとこ
ろであれば、どこでもご覧いただけます。見る場所によって、流星の数は大き
く変わりますので、人工灯火の多い街中ではなく、郊外や山、海などへ出かけ
る事をお勧めします。流星は空のどこに出現するかわかりませんので、安全な
場所に寝転んで夜空を見上げ、気長に待つのがよいでしょう。ただし、虫除け
や夜露、防寒対策のために長袖を着用するなどの注意は怠らないようにしましょ
う。

参照:日本流星研究会 http://www.nms.gr.jp/
   流星電波観測国際プロジェクト
           http://homepage3.nifty.com/AMRO/
   Esko Lyytinen氏のペルセウス座流星群予報ページ (英語)
    http://www.metaresearch.org/solar%20system/perseid/perseids.asp

       2004年 8月 5日           国立天文台・広報普及室
----------------------------------------------------------------------
※この情報は日本流星研究会の川崎康寛(かわさきやすひろ)さん、小川宏(おが
 わひろし)さんより、いただきました。

----------------------------------------------------------------------
訂正:「国立天文台 アストロ・トピックス (36) 板垣さん、きりん座に超新
   星を発見」で「参照:CBAT 74 (Aug. 1 2004).」となっておりましたが、
   正しくは「「参照:CBET 74 (Aug. 1 2004).」です。訂正させていただ
   きます。また、ご指摘をいただいた皆様にはお礼申し上げます。
    参考:CBAT = Central Bureau for Astronomical Telegrams
       CBET = Central Bureau Electronic Telegrams (発行:CBAT
 

国立天文台 アストロ・トピックス (36)

 投稿者:松下徹  投稿日:2004年 8月 5日(木)19時07分42秒
            板垣さん、きりん座に超新星を発見

 山形市にお住いの板垣公一(いたがきこういち)さんが、きりん座の NGC2403
銀河の中に11等級の明るい超新星らしい天体を発見しました。この発見は兵庫
県の中野主一(なかのしゅいち)さんを通じて国際天文学連合に報告されました。

 この天体は、板垣さんが2004年7月31日18時過ぎ(世界時)、60センチメートル
望遠鏡を使って撮った、少なくとも10枚の画像に11.2等級の明るさで写ってい
ました。翌8月1日の板垣さん自身による確認では、11.3等級の明るさでした。
この超新星は 2004dj と命名されました。

 超新星らしい天体の位置は以下の通りです。

  赤経: 7時37分17.02秒
  赤緯:+65度35分57.8 秒 (2000.0年分点)

 この天体は「NGC2403」の中心から、東に160秒、北10秒のところにあります。

 この天体は、これまでに板垣さんが撮った2002年9月19日や10月11日の限界等
級18.5等級の画像には写っていないとのことです。

 板垣さんの超新星発見は、2004年3月の「2004aw」以来で、通算10個目の
超新星発見となりました。

参照:CBAT 74 (Aug. 1 2004).

      2004年8月2日            国立天文台・広報普及室
----------------------------------------------------------------------
スター・ウィーク ~星空に親しむ週間~ では、統一イベントとして、8月7日
に『☆全国調査「あなたの街で天の川は見えますか?」☆』 を行います。
ご協力をお願いいたします。
 URL:http://www.starweek.jp/
 URL:http://www2.memenet.or.jp/hosinoko/amanogawa/index.html
 

国立天文台 アストロ・トピックス (23)

 投稿者:松下徹  投稿日:2004年 6月30日(水)19時02分4秒
          すばる望遠鏡 NASAの探査機計画と共同研究
         ~土星の衛星タイタンのジェット気流~

 2003年冬、雪景色のマウナケア山頂で、すばる望遠鏡にNASAの装置が取りつ
けられ、土星の衛星タイタンの激しいジェット気流が観測されました。この観
測は、NASA等が打ち上げた「カッシーニ」土星探査ミッションから、探査機
「ホイヘンス」が分離して、2005年1月にタイタンの濃い大気中に突入すること
と連携して行われたものです。

 HIPWAC(Heterodyne Instrument for Planetary Wind and Composition)と名
づけられたNASAの装置は、惑星の気流や大気組成を観測するためのヘテロダイ
ン受信機(*注)です。すばる望遠鏡の大口径を生かしてHIPWACで行った観測を、
これまで行ってきた観測結果と合わせて考えると、タイタンの上層大気(成層圏)
には、高緯度で時速756キロメートルの風、つまりジェット気流が存在するとい
う説を裏づけるものとなりました。すばる望遠鏡による観測では、ジェット気
流はタイタンの自転と同じ方向に吹いており、赤道付近の成層圏では気流は高
緯度よりも穏やかである(時速約425キロメートル)ことが明らかとなりました。
これはジェット気流モデルとよく合う結果です。HIPWACは、メリーランド州グ
リーンベルトにあるNASAゴダード宇宙飛行センターで設計・製作されました。
すばる望遠鏡は、日本の国立天文台によって運営されています。

 タイタンの気流の方向を地球から観測するのは極めて困難です。これは、タ
イタンの上層大気中に炭化水素(水素と炭素から成る分子)があるため、大気が
オレンジ色に霞んでしまって動きを示す特徴がとらえられないためです。

 この観測は、もともとNASA、欧州宇宙機関(ESA)、イタリア宇宙機関(ASI)の
国際事業であるカッシーニ土星探査ミッションのために進められました。この
ミッションは、大型ロボット探査機を用いて、土星とその31個の衛星を探査す
るもので、今年7月からいよいよ土星周辺で活動を展開する予定です。ESAが製
作したホイヘンスは、探査機カッシーニに取りつけられていますが、12月には
切り離されて22日間の旅の後、タイタンの大気に突入します。カリフォルニア
州パサデナのNASAジェット推進研究所がカッシーニ土星探査ミッション全体を
統括しています。


 すばる望遠鏡は、HIPWACに大口径による集光力を提供しました。すばるの直
径8.2メートルの主鏡は、一枚鏡としては現在定常運用されている望遠鏡中で最
大のものです。HIPWACは、光を異なる周波数に非常に細かく分けて高い分光分
解能を達成しているため、より多くの光を集めれば、より高い性能が発揮でき
るのです。この研究には、チャレンジャー宇宙科学教育センター、メリーラン
ド大学、ハワイ大学、ドイツのケルン大学などの研究機関も参加しています。

参照:すばる望遠鏡 土星の衛星タイタンのジェット気流
                 ― NASAの探査機計画と共同研究
        http://www.naoj.org/Pressrelease/2004/06/29/j_index.html
   NASAゴダード宇宙飛行センター発信のプレスリリース
        http://www.gsfc.nasa.gov/topstory/2004/0615hipwac.html

     2004年6月30日             国立天文台・広報普及室

*注:ヘテロダイン受信機とは、ラジオやテレビと同様の方法で、波の性質を損
  なわずに光を受信する装置で、波としての性質を利用して周波数を極めて
  正確に測定できます。
 

 国立天文台 アストロ・トピックス (22)

 投稿者:松下徹  投稿日:2004年 6月30日(水)19時01分8秒
           カッシー二探査機、いよいよ土星へ到着

 1997年10月の打ち上げ以来、実に6年8ヵ月もの長い旅を続けていたカッシー
ニ探査機が、ついに目的地である土星に到着します。

 カッシーニ探査機は、すでに6月中旬に主エンジンを噴射して速度を減速させ、
土星への到着準備を整えていました。日本時間で7月1日の11時36分に、再びエ
ンジンを噴射し、さらに減速して土星に近づきます。土星のリングの中でも内
側にある薄いFリングとGリングの間を通過しながら、約一時間半の噴射によっ
て、12時54分には土星を周回する軌道に入る予定です。今回の土星への最接近
は13時03分の予定で、接近距離は土星の雲頂から19980キロメートルとなります。
 予定では、エンジン噴射終了後の13時35分には、土星のリングの撮影を行う
ことになっています。順調にいけば、最初の画像が7月2日9時頃には地球に届く
でしょう。1981年8月25日、探査機ボイジャー2号が1万2000キロメートルを接近
通過して以来、約23年ぶりの土星への探査機接近となりますので、どんな画像
が送られてくるか楽しみです。

 今後、カッシーニ探査機は、4年間にわたって土星を周回しながら、本体やリ
ング、様々な衛星等の観測を行う予定です。また、その間には土星の衛星で濃
い大気を持つタイタンの上空に接近し、レーダー観測を行うほか、年末には小
型衛星のホイヘンスを大気中に投入することになっています。パラシュートを
展開して約3時間にわたって大気中を降下しながら、大気の様々な観測を行い、
タイタンの表面に到着することになっています。

参照:カッシーニ探査機ホームページ(英語) http://saturn.jpl.nasa.gov/

     2004年6月30日             国立天文台・広報普及室
 

国立天文台 アストロ・トピックス (9)

 投稿者:松下徹メール  投稿日:2004年 4月16日(金)19時47分54秒
       ブラッドフィールド彗星、太陽観測衛星で見え始める

 国立天文台アストロ・トピックス(7)で紹介した新彗星、ブラッドフィールド
彗星(C/2004 F4)の姿が太陽に近づき、尾を延ばした姿が太陽観測衛星の視野に
はいってきて、インターネット上の画像で眺めることができるようになりまし
た。

 この彗星は、4月13日に日没直後の西の地平線近くで、約3等級という明るさ
で輝いていましたが、その後、太陽にどんどん近づいていったために見えなく
なってしまっていました。これから、4月下旬になって日の出前の東の地平線に
姿を現すまでは、地上では観測できないわけです。

 ところが、このブラッドフィールド彗星は、太陽に非常に近づくタイプの軌
道を持っています。太陽に最接近する4月17日には、その距離が 0.16 天文単位
となります。その前後には、太陽観測衛星である宇宙天文台ソーホー(SOHO)に
よって観測されるのでは、と期待されていました。ソーホーは、コロナグラフ
と呼ばれる装置を搭載しており、太陽そのものを覆い隠して、その周りのコロ
ナを常時観測しています。これまでも太陽に近づいて明るくなった彗星が多数、
発見されています。このコロナグラフの画像は、リアルタイムでインターネッ
ト上に公開されており、誰でも見ることができるようになっています。

 16日早朝、ブラッドフィールド彗星が、尾をのばした彗星らしい姿となって、
そのコロナグラフの視野に入ってきました。17日の最接近を挟んで、ここ数日
は、このコロナグラフの C3 と呼ばれる画像で、誰でもブラッドフィールド彗
星を楽しむことができるでしょう。

参照:太陽観測衛星ソーホーのコロナグラフリアルタイム画像
    http://lasco-www.nrl.navy.mil/realtime.html
     ※ 彗星を見るには「C3」というコロナグラフの画像をご覧ください

      2004年4月16日            国立天文台・広報普及室


 

国立天文台 アストロ・トピックス (6)

 投稿者:松下徹メール  投稿日:2004年 4月13日(火)19時08分23秒
          明るい新彗星の発見 ~ 彗星ラッシュに ~

 前回のトピックスでも紹介したように、この春は肉眼で見える可能性がある
彗星がふたつもあると話題になっていることろですが、なんともうひとつ明る
い新彗星が発見され、彗星ラッシュの様相を呈してきました。

 オーストラリア在住のブラッドフィールド(W.A. Bradfield)さんは、3月23日
と24日の二日にわたって、25センチメートル反射望遠鏡を用いた眼視捜索によ
り、日没直後の低空で8等級に輝く彗星状の天体を発見しました。場所はくじら
座でしたが、発見時のスケッチと星図との同定に手間取ったことと、その後の
悪天候により、国際天文学連合への発見通報がなされたのは3月28日でした。そ
の後、4月8日にブラッドフィールドさん本人によって、再観測が、続いてオー
ストラリアのサイディング・スプリング天文台などで確認観測が行われ、晴れ
てブラッドフィールド彗星(C/2004 F4)の誕生となったものです。4月13日の観
測では、すでに約3等星の肉眼彗星となっており、月の直径ほどの尾が伸びてい
るようです。

 この彗星は、日没直後の西の低空で次第に観測しにくくなっていきますが、
太陽に接近し、約1~2等級まで明るくなります。この頃には地上から見るのは
無理ですが、太陽観測衛星であるSOHOなどが捉える可能性があります。その後、
4月下旬になると明け方の東の低空に顔を出します。この時期には、リニア彗星
(C/2002 T7)も同じ東の地平線付近で見えているはずです(国立天文台 アストロ
・トピックス(5))ので、5月下旬の西空での二大彗星ランデブーより一足早く、
二つの彗星が並ぶ姿を見ることができるかもしれません。

 国際天文学連合回報による暫定的な放物線軌道と、それによる予報位置は次
のとおりです。

 COMET C/2004 F4 (BRADFIELD)

 近日点通過時刻 = 2002 Apr. 17.12 TT 近日点引数 = 332.49 度
                    昇交点黄経 = 222.66 度 (2000.0)
 近日点距離   = 0.1690 AU      軌道傾斜角 = 63.21 度

  日付   赤経(2000.0)赤緯  地心距離 日心距離 太陽離角  明るさ
  2004   時 分   度 分    AU   AU    度    等
Apr. 13   2 06.59  - 0 07.6  1.005   0.238   13.6   3.3
   15   2 00.31  + 1 51.7  0.923   0.191   10.3   2.4
   17   1 48.03  + 5 43.1  0.856   0.169   5.1   1.9
   19   1 32.28  +11 17.5  0.830   0.186   4.0   2.1
   21   1 18.89  +16 57.2  0.845   0.231   10.3   2.9
   23   1 09.74  +21 44.3  0.882   0.287   15.8   3.7
   25   1 04.02  +25 36.7  0.929   0.346   20.1   4.4
   27   1 00.66  +28 46.2  0.980   0.404   23.4   5.0
   29   0 58.90  +31 23.7  1.031   0.462   26.2   5.6
May  1   0 58.23  +33 37.4  1.081   0.518   28.5   6.0
   3   0 58.32  +35 33.3  1.130   0.573   30.4   6.5
   5   0 58.93  +37 15.3  1.177   0.626   32.1   6.8

 なお、ブラッドフィールドさんは、70年代から活躍している有名なコメット
ハンターで、1995年ブラッドフィールド彗星(C/1995 Q1)以来、9年ぶり18個目
の彗星発見となります。

参照:IAUC 8319(April 12 2004).
   IAUC 8320(April 12 2004).

    2004年4月13日             国立天文台・広報普及室
 

国立天文台 アストロ・トピックス (5)

 投稿者:松下徹メール  投稿日:2004年 4月13日(火)19時07分44秒
           明け方の東の低空に見え始めたリニア彗星

 この春に肉眼で見える可能性のある二大彗星のひとつ、リニア彗星 (C/2002
T7 (LINEAR)) が、明け方の東の地平線に顔を出しはじめ、日本のアマチュア天
文家によって観測がされるようになりました。

 リニア彗星は、2002年10月にアメリカ・リンカーン研究所の "リニアプロジェ
クト (LINEAR=Lincoln-Laboratory Near Earth Asterid)" のチームが発見した
彗星です。発見された時の太陽からの距離が約10億キロメートルと遠方だった
ことから、かなり大型の彗星ではないか、と考えられました。また、4月23日に
は太陽に9千万キロメートルまで近づき、日本でも5月下旬には肉眼で見えるか
もしれないと期待されています(国立天文台・天文ニュース (598))。また、昨
年9月のすばる望遠鏡の観測によって、彗星の核の近傍で、氷の粒子が直接検出
されるなど、天文学的な成果も上がっています(国立天文台 アストロ・トピッ
クス(4))。

 リニア彗星は、日本からは4月末に日の出前の東の低空で一時的に見られる可
能性があります。地平線からの高さが高くなって見やすいという条件でいえば、
5月下旬の日没後の南西の夜空に現れるときの方がよいのですが、彗星本体の明
るさなどを考えると、4月末の方が明るいかもしれない、という予測もなされて
います。明け方の観測好機は4月21日頃から5月1日頃までとなりますが、なにし
ろ薄明開始時に高度が2~3度という超低空になりますから、地平線まで何もな
い視界が開けた場所と天気、特に低空の透明度に恵まれないと難しいでしょう。

 こういった低空での彗星の観測を継続している埼玉県在住のアマチュア天文
家、門田健一(かどたけんいち)さんは、4月10日早朝、4時25分、待望のリニア
彗星の姿を18センチメートル反射望遠鏡に冷却CCDカメラをつけて、その姿を撮
するのに成功しました。透明度が悪く、雲の通過の合間をぬった観測でしたが、
リニア彗星は薄明中の高度約4度あまりの場所に約5等星の明るさで輝いていま
した。また、群馬県在住のアマチュア天文家・小島卓雄(こじまたくお)さんも
4月6日および10日、12日と撮影に成功しています。リニア彗星は4月23日の近日
点通過日には、67パーセントほどの確率で1.3等級から4.1等級の範囲に達する
と思われています。

参照:門田氏のリニア彗星画像
    http://www.astroarts.com/ageo/comet/2002T7/2002T7-20040409.jpg

   明るい彗星がやってくる ~今年の春に期待される二つの肉眼彗星~
    http://www.nao.ac.jp/pio/2comets/

   地球に接近するリニア彗星から氷粒を発見
    http://subarutelescope.org/Pressrelease/2004/04/04/j_index.html

    2004年4月13日             国立天文台・広報普及室

----------------------------------------------------------------------
訂正:「国立天文台・天文ニュース(706) 小惑星が地球にニアミス」で、「3月
   18日22時(世界時)過ぎに南大西洋上空で最接近し、地心距離としては4万
   3000キロメートルまで近づいたことが、」とありますが、正しくは「地
   表面からの距離としては4万3000キロメートルまで近づいたことが、」と
   なります。訂正させていただきます
 

国立天文台 アストロ・トピックス (4)

 投稿者:松下徹メール  投稿日:2004年 4月 7日(水)07時03分55秒
       すばる望遠鏡、今春明るくなるリニア彗星に氷粒を検出

 リニア彗星(C/2002 T7(LINEAR))は、2002年10月にアメリカ・リンカーン研究
所の"リニアプロジェクト(LINEAR=Lincoln-Laboratory Near Earth Asterid)"
のチームが発見した彗星です。発見時の日心距離は約7天文単位(1天文単位は地
球・太陽間の平均距離、1億5千万キロメートル)でしたが、今年4月23日には太
陽に0.6天文単位まで近づき、肉眼彗星になると期待されています。ちなみに、
同時期に、別の彗星(ニート彗星 C/2001 Q4)も肉眼彗星となることが期待され
ています。

 国立天文台の研究グループは、すばる望遠鏡を用いて、2003年9月14日、この
リニア彗星の近赤外線分光観測を行い、世界で二例目となる"氷粒"の直接検出
に成功しました。
 彗星は水の氷(H2O)が主成分なのですが、その氷がどのような状態で存在する
か、よくわかっていません。氷の粒のサイズや結晶状態を知ることは、46億年
前、太陽系が生まれた頃に、彗星核がいったいどのような環境でできたかを知
る有力な手がかりとなるはずです。

 ところが彗星の氷を直接、検出するのは困難です。太陽に近づいて、明るく
観測しやすい彗星になると、氷は彗星核から放出されるとすぐに太陽熱で融け
てしまいます。そのため、氷が融けないような遠方で観測すればよいのですが、
今度は彗星そのものが暗くて観測が困難となってしまいます。したがって、彗
星の氷粒の検出には、「大型の彗星」であり、なおかつ「遠方での観測」が必
須となるわけです。最初の成功例は、20世紀最大の彗星であるヘール・ボップ
彗星で、太陽から7天文単位という遠方でした。

 今回は、このリニア彗星がやはりハレー彗星並の大物と考えられており、当
時まだ太陽から3.5天文単位という比較的遠方にあったため、氷粒が彗星近傍の
中で融けていないと予想されました。そこで、すばる望遠鏡の近赤外線分光器
CISCO によって、核近傍の1000キロメートル付近のみのコマを取り出しました。
その結果、水の氷の吸収を示すスペクトルを得ることに成功しましたが、通常
の結晶質氷ならば見られるはずの1.65マイクロメートルの吸収が存在しません
でした。すなわち、この彗星の氷粒はアモルファス(非晶質)の状態にあると考
えらるわけです。アモルファスの氷は、絶対温度140度以下でしか形成されず、
彗星の氷が低温での凝結物質であることがあきらかになりました。さらに、今
回の観測では氷(H2O)だけではなく、どうやらアンモニア(NH3)の氷らしい吸収
を初めて検出しました。アンモニアの含まれた氷(H2O)の存在は、太陽系の惑星
が持つ衛星などでは確認されていましたが、彗星の氷(H2O)の中に発見されたの
は初めてです。

 今回の成功は、すばる望遠鏡の集光力と高い空間分解能による成果とも言え
るでしょう。このレベルの彗星で、氷粒の観測が可能であれば、さらに今後は
起源の異なると思われる彗星についても同様の観測ができるのでは、と期待さ
れます。


参照:文献 "Evidence of Icy Grains in Comet C/2002 T7 (LINEAR) at 3.52 AU"
       Kawakita Hideyo; Watanabe Jun-ichi; Ootsubo Takafumi;
       Nakamura Ryosuke; Fuse Tetsuharu; Takato Naruhisa;
       Sasaki Sho; Sasaki Takanori Astrophysical Journal
             Volume 601 Issue 2 pp. L191-L194.(Feb. 1).
   地球に接近するリニア彗星から氷粒を発見
    http://subarutelescope.org/Pressrelease/2004/04/04/j_index.html
   明るい彗星がやってくる ~今年の春に期待される二つの肉眼彗星~
    http://www.nao.ac.jp/pio/2comets/

      2004年4月5日            国立天文台・広報普及室
 

国立天文台 アストロ・トピックス (3)

 投稿者:松下徹メール  投稿日:2004年 4月 4日(日)10時59分4秒
            4次元デジタル宇宙プロジェクト
           一般公開についてのご案内

タイトル:太陽系紀行(仮題)

公開日時:2004年 4月24日(土) 16:00~18:00

受付時間:15:30~17:30

受付場所:管理棟ロビー

上映時間:約20分 (各回定員20名 総入替制)

チケット:返信はがきと引替に受付で上映回指定チケットを配布

申し込み:往復はがきでお申し込みください (詳細は下記URL参照)

  締切:2003年 4月15日(木) (必着)

  定員:150名予定 (定員を越えた場合は抽選)

 参加費:無料

 問合先:国立天文台 4次元デジタル宇宙プロジェクト
      電話0422-34-3836 (平日午前10時~午後3時)

  注意:・締切後、応募頂いた往復はがきの返信欄にて参加の可否をご連絡
      します。
     ・お電話等での参加可否についてのお問合せにはお答え致し兼ねま
      すのでご了承ください。
     ※応募の宛先・問合せ先が変更になりましたので、ご注意ください

参照:4次元デジタル宇宙プロジェクト
        http://yso.mtk.nao.ac.jp/~4d2u/
      2004年 4月24日公開
        http://yso.mtk.nao.ac.jp/~4d2u/4D2U/publicity9.html

      2004年4月1日            国立天文台・広報普及室
 

国立天文台 アストロ・トピックス (2)

 投稿者:松下徹メール  投稿日:2004年 4月 4日(日)10時58分16秒
          「スター・ウィーク ~星空に親しむ週間~」
            2004年キャンペーン案内

 「スター・ウィーク~星空に親しむ週間~」は、子どもから大人まで幅広く
星空に親しんでもらうことを目的に、毎年8月1日から7日の1週間を中心に行っ
ているキャンペーンです。1995年の開始から今年でちょうど10年を迎えます。
 これまで、多くの公開天文施設、有志団体等のご協力の下、夏休み期間中に
多くのスター・ウィーク協力イベントを開催していただきました。
 今年もスター・ウィークへご協力いただけますようお願いします。

 夏休み期間中(概ね7月下旬~8月末)に開催予定の「星や宇宙に親しむ」趣旨
のイベント・事業(天体観望会、講演会、工作教室、プラネタリウム投映、まつ
り等)を、「スター・ウィーク2004協力イベント」として募集します。

 スター・ウィーク2004協力イベントのご連絡方法は、スター・ウィーク ~星
空に親しむ週間~のウェッブ(http://www.StarWeek.jp/)上にある、「2004年ス
ター・ウィーク情報募集要項」にある「スター・ウィーク連絡票」に必要事項
をご記入の上、スター・ウィーク2004実行委員会事務局宛にお送り下さい。
 送付方法は、電子メール、郵便、FAX、のいずれかでお願いします(出来るだ
け電子メールで、添付ではなくそのまま電子メールの本文でいただければ、事
務処理上、たいへん助かります)。
 【A票】【B票】の2種類あり、〆切も異なりますのでご注意下さい。


 お寄せいただいた施設は、スター・ウィーク2004実行委員会制作のキャンペー
ンポスターに参加団体名を載せる予定です。
 また、集まりました全国の協力イベント情報は『スター・ウィーク ~星空に
親しむ週間~』のウェッブページに公開します。興味があるイベントがありま
したら、どうぞお気軽にご参加ください。
 また、昨年同様統一イベントなども考えておりますので、こちらも気軽にご
参加ください。

                 主催:スター・ウィーク2004実行委員会

参照:スター・ウィーク ~星空に親しむ週間~ http://www.StarWeek.jp/

      2004年4月1日            国立天文台・広報普及室


 

国立天文台 アストロ・トピックス (1)

 投稿者:松下徹メール  投稿日:2004年 4月 4日(日)10時57分22秒
              巨大な惑星状星雲の発見

 スローン・デジタル・スカイ・サーベイ (SDSS: Sloan Digital Sky Survey)
は、アメリカ、日本、ドイツなどが実施している宇宙の地図作りのためのプロ
ジェクトです。アメリカ・ニューメキシコ州にあるアパッチポイント天文台に
設置された、口径2.5メートルの望遠鏡によって、毎晩のように観測が行われ、
膨大なデータが公開されつつありますが、その中から思いがけない発見があり
ました。巨大な惑星状星雲が見つかったのです。

 惑星状星雲とは、ガスの星雲の一種で、天文ファンにはおなじみの天体です。
こと座の「環(かん)状星雲(M57)」、こぎつね座の「亜鈴(あれい)状星雲(M27)」
などをご存じの方も多いでしょう。望遠鏡で眺めると見かけが少し惑星に似て
いるために、このように呼ばれていますが、太陽系の惑星とは何の関係もあり
ません。あまり質量の大きくない、太陽程度の恒星が、進化の最後の段階で白
色矮(わい)星になる時、その周囲に放出したガスが惑星状星雲となります。
 有名な惑星状星雲で大きなものとしては、これまでみずがめ座の「螺旋(らせ
ん)状星雲(NGC7293)」が知られていました。視直径が約15分角と月の見た目の
直径の半分ほどもあります。一方、年齢を経て拡散した、輝度の低いものまで
含めると、シャープレス216という惑星状星雲が最大で、その直径は1.6度もあ
ります。

 今回、SDSSで発見された惑星状星雲は、直径が2度よりも大きく、地球から見
える最大の惑星状星雲ということになりそうです。惑星状星雲を生みだした星
も PG1034+001 という白色矮星と特定されています。大きいということは、逆
に言えば太陽系に近いということに他なりません。白色矮星の距離から推定す
ると、この惑星状星雲までの距離は、約150パーセク(1パーセク=3.26光年)とな
り、シャープレス216の130パーセクに次ぐ近さとなります。
 発見者にちなんで 「Hewett 1 (ヒューイット ワン)」 と命名された惑星状
星雲の周囲を、水素の発する Hα輝線のマップで調査してみると、さらに驚く
べきことがわかりました。2度と思われた星雲の広がりの、さらに外側に10度角
x16度角もの大きさの楕円形になった星雲状の構造が見つかったのです。このよ
うな大きな構造は、年老いた惑星状星雲である可能性が指摘されています。

 ところで、これほど大きな星雲となると、プロが通常用いる大型の天体望遠
鏡では視野が狭くて全体を撮影することはできません。アマチュア天文家の皆
さんで、ぜひ撮影を試みられては如何でしょうか?

 Hewett 1 の中心位置は次の通りで、しし座の南のろくぶんぎ座にあります。

    赤経  10時 37分
    赤緯 -00度 18分  (2000年分点)

参照: Hewett et al. Astrophys. J. 599 L39(2003).
    Rauch et al. Astron. Astrophys. 417 647(2004).

      2004年4月1日            国立天文台・広報普及室

----------------------------------------------------------------------
お知らせ:「国立天文台」は4月1日より「文部科学省 国立天文台」から「大
     学共同利用機関法人 自然科学研究機構 国立天文台」になりまし
     た。同機構は、国立天文台の他に、核融合科学研究所、基礎生物学
     研究所、生理学研究所、分子科学研究所が一緒になって発足しまし
     た。どうぞよろしくお願いします。

参照: 大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 http://www.nins.jp/
    国立天文台               http://www.nao.ac.jp/

----------------------------------------------------------------------
お知らせ:これまでお送りしておりました「国立天文台・天文ニュース」は、
     今号より装いも新に「国立天文台・アストロ・トピックス」として
     お送りします。これからは徐々にではありますが、さらに多くの天
     文学の各分野の話題をお届けできるようにと考えています。

 

VSOLJ ニュース (123)

 投稿者:松下徹メール  投稿日:2004年 3月19日(金)19時42分25秒
            西村さん、いて座に新星を発見

                     著者 :山岡均(九大理)
                     連絡先:yamaoka@rc.kyushu-u.ac.jp

 静岡県掛川市の西村栄男さんは、昨年もたて座に新星を発見されるなど、活
躍されている天体捜索家のひとりです。今回、西村さんは、いて座に新星を発
見されました。

 西村さんは、3月15.82日(世界時、以下同様)に撮影した写真上で、9.4等の
新しい天体に気付きました。12.82日に撮影した写真では写っていなかったの
で、たいへん急速に明るくなったものと推察されます。チリのW. Lillerさん
も独立にこの天体を発見しています(17.342日)。米カンザス州のD. Westさん
による精測位置は、

 赤経:18時19分32.29秒
 赤緯:-28度36分35.7秒 (2000年分点)

です。いて座の弓の中ほどにあたります。過去の画像では、この位置から2"以
内に18等より明るい天体(赤画像)はありません。赤外線やX線で明るい天体も
なく、おそらく典型的な新星であろうと考えられ、IAU circularではNova
Sagittarii 2004(2004年いて座新星)と呼ばれています。

 ASAS-3自動撮影システムでは、この領域を3月12.38日に撮影していましたが、
やはり天体は写っていませんでした。17.36日撮影の画像では、8.1等ほどの明
るさで捉えられています。

 これまで報告されている明るさは、

Feb. 26.38 >11.0r  Liller
Mar. 12.38 >14.0V  ASAS-3
   12.82 >10.5p  西村
   15.82  9.4p  西村
   17.342 8.2:r  Liller
   17.346 8.2:r  Liller
   17.36  8.10V  ASAS-3
   17.489 8.38V  West
   17.556 8.1   Royer(米カリフォルニア)
   17.631 8.5   Bedient(米ハワイ)
   17.821 8.7   Pearce(オーストラリア)

*rは赤フィルター写真、pは写真、VはV等級、記号がないのは眼視。

です。現在、急速に減光している可能性があり、早期のスペクトル撮影が望ま
れます。

参考文献:IAUC 8306 (2004 March 17)

2004年 3月18日

※ この「VSOLJニュース」の再転載は自由です。一般掲示、WWWでの公開
  等にも自由にお使いください。資料として出版物等に引用される場合には出典
  を明示していただけますと幸いです。継続的・迅速な購読をご希望の方は、
  VSOLJニュースのメーリングリスト vsolj-news にご加入いただくと便利で
  す。購読・参加お申し込みは ml-command@cetus-net.org に、本文が
  subscribe vsolj-news
  と書かれたメールを送信し、返送される指示に従ってください。
  なお、本文内容に対するお問い合わせは、著者の連絡先までお願い致します。
 

VSOLJ ニュース (122)

 投稿者:松下徹メール  投稿日:2004年 3月14日(日)10時39分51秒
           M82銀河に出現した超新星2004am

                     著者 :山岡均(九大理)
                     連絡先:yamaoka@rc.kyushu-u.ac.jp

 おおぐま座のM82銀河は、星が大量に生まれつつあるスターバースト銀河と
してたいへん有名なものです。近くにある渦巻銀河M81といっしょにハの字型
に並んだ写真を目にしたことのある方も多いでしょう。活発な星生成にもかか
わらず、これまでM82銀河では超新星は見つかっていませんでしたが、このた
び、Lick天文台自動撮像望遠鏡(KAIT)チームが初めてこの銀河の超新星を発見
しました。

 チームが超新星に気付いたのは3月5日(世界時、以下同様)に撮影した画像で
したが、以前に撮影した多数の画像にもこの超新星は写っていました。超新星
のすぐ近くに明るいH II領域と思われる光点があり、新天体を自動的に検出す
るソフトウェアでは見逃されてしまっていたとのことです。最初に写っていた
のは昨年11月21日で、そのときの明るさは16.0等、それから徐々に暗くなりま
したが今年に入って2月最初までは16.4等で一定の明るさを保っていました。
発見された3月5日には17.0等と暗くなっているところです。

 超新星の名前は、その天体に気付いた画像や写真が撮影された年を元につけ
られます。今回の超新星は2003年から出現していましたが、今年3月の画像で
まず発見されたため、超新星2004amと名付けられています。このような例は、
超新星2004Mなど、いくつかあります。

 M82銀河とペアを作っているM81に出現した超新星1993Jは、極大で11等ほど
にもなる明るいものでした。それに比べて今回の超新星2004amはたいへん暗く
見えます。その理由は、M82銀河の中での星間吸収によるものです。スペイン
のカナリア諸島にあるハーシェル望遠鏡で3月6.9日に撮影された赤外線画像
(Ksバンド)では、この超新星は12等ほどとたいへん明るく写し出されました。
星間吸収は、波長が短い電磁波ほど強く吸収する一方、波長の長い赤外線では
影響が小さくなります。吸収がなければ、超新星2004amも極大時には11等ほど、
現在でも12等ほどで見えたでしょう。同時に行なわれた赤外線分光で、今回の
超新星は水素に富むII型と判明しました。活発な星生成で生まれた大質量星の
最期の姿だったわけです。

 これまでM82銀河で超新星が観測されなかったのも、今回のように強い星間
吸収を受けて、我々から見えなかっただけであろうと思われます。赤外線観測
が盛んになったこともあり、今後次々とM82銀河で超新星が発見されていくか
も知れません。

参考文献:IAUC 8297 (2004 March 5)
     IAUC 8299 (2004 March 8)

2004年 3月9日

※ この「VSOLJニュース」の再転載は自由です。一般掲示、WWWでの公開
  等にも自由にお使いください。資料として出版物等に引用される場合には出典
  を明示していただけますと幸いです。継続的・迅速な購読をご希望の方は、
  VSOLJニュースのメーリングリスト vsolj-news にご加入いただくと便利で
  す。購読・参加お申し込みは ml-command@cetus-net.org に、本文が
  subscribe vsolj-news
  と書かれたメールを送信し、返送される指示に従ってください。
  なお、本文内容に対するお問い合わせは、著者の連絡先までお願い致します。
 

レンタル掲示板
/6